【1】飛行機の概念設計のページです


●KMAPによる飛行機設計(全般説明)

・KMAPは強力な設計ツールであるものの,飛行機の形を創り出してくれるものではありません.

  ⇒ 飛行機の形は,設計者自ら創造するものです.
    従って,他の飛行機の形をまねると,まさに“ものまね飛行機”になってしまいます.

 (既存の飛行機形状をまねて性能要求を満足した場合は,そのままの飛行機が設計結果となってしまいます)

・KMAPは,与えられた機体形状について,飛行性能を満足する機体規模(大きさと重量)の最適値
 を提案するツールです.

●次の4つのデータを準備します

   @機体形状データ
    ・主翼,フラップ,エルロン
    ・水平尾翼,エレベータ
    ・垂直尾翼,ラダー
    ・胴体形状

View3 Fig.Y150425.jpg





















   A製造可能な自重比の設定

   B飛行性能要求値

  次の5つの飛行性能を満足する飛行機を探索します.

    ・乗員・乗客数
    ・航続距離
    ・離陸滑走路長
    ・着陸滑走路長
    ・接地速度

   C離陸重量の初期値

  (これらの各データについて,以下例題にて詳しく説明します)



●インプットデータ:@機体形状データ

 入力する機体形状データは次の図に示すデータです.

           <機体形状データ>
Aircraft Config Fig.Y150425.jpg



































  <主翼および尾翼の上反角>            <主翼の断面形状>
Input Wing Data.Y150425.jpg











 具体的には次のように,DATデータに入力します.

CDES.XXX.DAT          (ここで,“E+03”とは10の3乗=1000である)
---------------------------------------------------------------
(A.2) 主翼,フラップおよびエルロン関係
  主翼面積                   S = 0.10540E+03 (m2)
  スパン(主翼)                b = 0.28900E+02 (m)
  先細比(主翼)(直線延長)          λ = 0.33000E+00 (−)
  前縁後退角(主翼)(999.0なら3個データ) ΛLE = 0.99900E+03 (deg)
   前縁後退角(主翼)           ΛLE = 0.29000E+02 (deg)
   後縁付け根後退角(主翼)       ΛRTE = 0.00000E+00 (deg)
   後縁付け根スパン方向開始位置  ηM = 0.33000E+00 (−)
  主翼上反角                 Γ = 0.50000E+01 (deg)
  胴体中心〜expo主翼根距離(翼が下が正) ZW = 0.10000E+01 (m)
  主翼断面後縁角             φTE = 0.18000E+02 (deg)
  主翼の前縁半径比            r0/C = 0.20000E-01 (−)
  翼厚比(主翼)               t/c = 0.11000E+00 (−)
  翼厚比(主翼)(t/c)のmax位置     xt = 0.30000E+02 (%MAC)
  フラップのchord extention比      c1/c = 0.13000E+01 (−)
  フラップ弦長比(せり出し後)       cf/c = 0.30000E+00 (−)
  フラップのスパン方向開始位置    ηi = 0.15000E+00 (−)
  フラップのスパン方向終了位置    ηo = 0.70000E+00 (−)
  フラップ舵角(空力推算時参考舵角) δf = 0.20000E+02 (deg)
---------------------------------------------------------------
  エルロン弦長比               ca/c = 0.25000E+00 (−)
  エルロンのスパン方向開始位置     ηiA = 0.73000E+00 (−)
  エルロンのスパン方向終了位置     ηoA = 0.95000E+00 (−)
  エルロン舵角(999ならエンジン取付データ)  δa = 0.99900E+03 (deg)
   エルロン舵角(空力推算時参考舵角)  δa = 0.20000E+02 (deg)
   主翼エンジン表示(=0無,=1表示)    ATENW = 0.10000E+01 (−)
    スパン方向位置(片側2個まで)    ηENW1 = 0.33000E+00 (−)
    スパン方向位置(999は2個目無)   ηENW2 = 0.99900E+03 (−)
    翼下距離                RHENW = 0.11000E+01 (m)
    エンジン直径(主翼)           RDENW = 0.20000E+01 (m)
    エンジン長さ(主翼)          RLENW = 0.33000E+01 (m)
   胴体エンジン表示(=0無,=1表示)    ATENB = 0.00000E+00 (−)
    機首からの距離            RBENB = 0.20485E+02 (m)
    胴体中心からの上方距離      RBUPB = 0.45798E+00 (m)
    胴体中心からの水平距離      RBHRB = 0.13740E+01 (m)
    エンジン直径(胴体)          RDENB = 0.13740E+01 (m)
    エンジン長さ(胴体)           RLENB = 0.22899E+01 (m)
   垂尾エンジン表示(=0無,=1表示)    ATENV = 0.00000E+00 (−)
    スパン方向位置            ηENV = 0.40000E+00 (−)
    エンジン直径(垂尾)          RDENV = 0.13740E+01 (m)
    エンジン長さ(垂尾)          RLENV = 0.91603E+01 (m)
   プロペラ機(=0無,=1主翼,=2機首)   ATENP = 0.00000E+00 (−)
    エンジン直径(主翼は片側1個)   RDENP = 0.68693E+01 (m)
   ウイングレット表示(=0無,=1表示)   ATWLT = 0.00000E+00 (−)
    長さ                   RLWLT = 0.11449E+01 (m)
    ウイングレット翼端弦長       RCWLT = 0.68287E+00 (m)
    角度                  DGWLT = 0.70000E+02 (deg)
---------------------------------------------------------------
(A.3) 水平尾翼およびエレベータ関係
  水平尾翼面積                  S" = 0.32000E+02 (m2)
  スパン(水平尾翼)                b" = 0.12400E+02 (m)
  先細比(水平尾翼)                λ" = 0.26000E+00 (−)
  前縁後退角(水平尾翼)            ΛLE" = 0.35000E+02 (deg)
  水平尾翼上反角                Γ" = 0.90000E+01 (deg)
  胴体中心〜水尾CBAR/4距離(翼が下が正) ZH =-0.15000E+01 (m)
  胴体中心の主翼後縁〜水尾前縁距離    Lwh = 0.10800E+02 (m)
  後縁角(deg)(水平尾翼)            φTE" = 0.15000E+02 (deg)
  翼厚比(水平尾翼)               t/c" = 0.90000E-01 (−)
  エレベータ弦長比(全動はce/c"=1.0)    ce/c" = 0.35000E+00 (−)
  エレベータスパン方向開始位置       ηi" = 0.15000E+00 (−)
  エレベータスパン方向終了位置       ηo" = 0.85000E+00 (−)
  エレベータ舵角(空力推算時参考舵角)  δe = 0.20000E+02(deg)
---------------------------------------------------------------
(A.4) 垂直尾翼およびラダー関係
  垂直尾翼面積(胴体中心線まで)      Sv = 0.30800E+02 (m2)
  スパン(垂直尾翼)               bv = 0.80000E+01 (m)
  先細比(垂直尾翼)              λv = 0.24000E+00 (−)
  前縁後退角(垂直尾翼,999はドーサルフィン) ΛLEv = 0.99900E+03 (deg)
   前縁後退角(垂直尾翼)         ΛLEv = 0.40000E+02 (deg)
   ドーサルフィン開始位置(機首からの距離) Ldor = 0.22800E+02 (deg)
   ドーサルフィンの垂直尾翼上のスパン位置  ηdor = 0.40000E+00 (−)
  胴体中心の主翼後縁〜垂尾前縁距離  Lwv = 0.84000E+01 (m)
  後縁角(deg)(垂直尾翼)           φTEv = 0.15000E+02 (deg)
  翼厚比(垂直尾翼)              (t/c)v = 0.90000E-01 (−)
  ラダー弦長比                 cdr/c = 0.25000E+00 (−)
  ラダーのスパン方向開始位置       ηiV = 0.25000E+00 (−)
  ラダーのスパン方向終了位置       ηoV = 0.95000E+00 (−)
  ラダー舵角(空力推算時参考舵角)    δr = 0.30000E+02 (deg)
---------------------------------------------------------------


 以上の機体形状データによって,次の機体3面図がえられます.

          <機体3面図>
View3 Fig.Y150425.jpg



























 これらの機体形状データをユーザが最初から作るのは大変な作業となります.そこで,次のように
例題の飛行機形状を用いて,それを修正することでデータを作ると簡単です.



それでは,KMAPプログラムの起動から機体形状データ作成までを,
具体例で以下に説明します.


【ローカルディスクC:\KMAPホルダー内に,“KMAP**実行スタートファイル.BAT”があるので,これを
 ダブルクリックすると,KMAP**のプログラムが起動し次のように表示されます.】

@KMAPの起動
################## < KMAP*** 解析内容選択 > #####################
                              (20**.*.*)
 ● 従来型のキーイン方式による各種KMAP解析      
    1 :「一般」(下記以外) ⇒ 航空機の運動・制御系解析,スピン運動
    2 :「CDES」     ⇒ 航空機(含む機体形状データ)の解析
    3 :「CDES.WAT」   ⇒ 水中ビークルの運動・制御系解析
    4 :「EIGE」     ⇒ 基礎的な制御,振動,最適化,
                ロボットの制御,自動車の制御,船の制御
    5 :「EIGE.MEC」   ⇒ 工作機械の制御解析
    6 :「HAYA」     ⇒ キーインなしで航空機シミュレーション
    7 : シミュレーションデータの保存と加工          
   ----------------------------------------------
   11: 有限要素法(FEM)による構造物の弾性解析 (参考図書E 参照)
   12: 差分法(FDM)による流体,熱の流れの解析 (参考図書E 参照)
   13: 飛行機の翼理論,2次元ポテンシャル流厳密解 (参考図書N 参照)
======================================================================
 ● 飛行機(CDES)の自動化解析 (新規)     
   23: 解析スタート   ⇒保存リストをコピーしてデータ新規作成  
                                   
======================================================================
      (20:自動化解析の説明, 30: 取り扱い説明書(pdf資料))
      (86:参考図書, 87:KMAP変更内容の履歴, 88:注意事項の表示)
   ----------------------------------------------
    9 : 終了
######################################################################

● 上記の番号を選択 -->

【ここで,“23”をキーインすると次のように表示されます.】



設計方式(11,12,13,21方式)選択
=========================================================================
(A)通常機 (燃料重量が変化)
  “11方式”:(1)性能要求値(乗客数,航続距離,離陸滑走路長,着陸滑走路長,
     接地速度)を満足する機体諸元を探索する

        (2) 自重一定で,航続距離を指定して必要な燃料量を探索した後,
          離陸重量と飛行性能(離陸滑走路長,着陸滑走路長,接地速度)
          を求める
          (Hの製造可能な自重比の項で,“10”を選択して実行)

        (3) この11方式(1)の特殊ケースとして,航続距離優先(ブレゲー最適
          条件の迎角を利用)の場合は“12方式”を選択することで可能

  “13方式”: 乗客数,離陸重量,自重,燃料量,離陸推力を変更して,
         飛行性能(航続距離,離陸滑走路長,着陸滑走路長,接地速度)
         および飛行特性(含む,シミュレーション,制御系安定解析)
         を解析する

(B)重量一定 (電池式や人力飛行機など)
  “21方式”: 乗客数,離陸重量,離陸推力を変更して,
         飛行特性(航続距離,離陸滑走距離,着陸滑走距離,接地速度)
         および飛行特性(含む,シミュレーション,制御系安定解析)
         を解析する
  (-1): (戻る)
=========================================================================
   ●上記の 11, 12, 13, 21 を選択 -->

【ここで,“11”をキーインすると次のように表示されます.】



機体データの取得方法(98,99,100方式)選択
=========================================================================
   方法98 : 既存のファイルをコピー利用して新規作成

   方法99 : 例題ファイル(リスト表示される)をコピー利用

(直接No)100 : 表示される直接番号の例題ファイルをコピー利用
(-1): (戻る)
=========================================================================
 ●上記の 98, 99, 100 を選択 -->



【ここで,“99”をキーインすると次のように表示されます.】

機体データの取得
(上記リストをスクロールして番号を入力)

【ここで,“44”をキーインすると次のように表示されます.】



(7)制御則の選択
(上記リストをスクロールして番号を入力)

【ここで,“0”をキーインすると解析が実行されます.】



●解析結果の表示

$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$< 解析結果の表示 >$$$$$$$$(KMAP**)$$$$$$$
 0 : 結果表示 終了

 1 : 安定解析図(f特,根軌跡)    (Excelを立ち上げてください)
      (極・零点配置,根軌跡,周波数特性などの図が表示できます)
      (極・零点の数値データは“9”(安定解析結果)で確認できます)
 2 : シミュレーション図(KMAP(時歴))  (Excelを立ち上げてください)
      (40秒または200秒のタイムヒストリー図に表示できます)
 3 : 機体3面図           (Excelを立ち上げてください)
 4 : 飛行性能推算結果       (TES10.DAT)
 5 : 空力係数推算結果       (TES5.DAT)
 6 : ナイキスト線図           (Excelを立ち上げてください)
 7 : シミュレーション図(KMAP(Simu))  (Excelを立ち上げてください)
      (Z191〜Z200に定義した値をタイムヒストリー図に表示できます)
 9 : 安定解析結果         (TES13.DAT)
10 : その他のExcel図        (Excelを立ち上げてください)
11 : 運動アニメーションを実行(ただし,飛行機と水中ビークルのみ)
      (アニメーション開始:[shift]+[S], 終了:[shift]+[E])    
      (アニメーション表示モード変更:[shift]+[V])
      (アニメーション機体拡大:[Q], 縮小:[A])
      (アニメーション表示回転:[←],[↑],[→],[↓])
12 : 運動アニメーションの移動量を調節する           
13 : シミュレーションデータの保存と加工            
14 : 取り扱い説明書(pdf資料)             
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$

●上記解析結果の表示 ⇒ 0〜 を選択 -->


【ここで,“4”とキーインすると,飛行性能推算結果が次のように得られます.】

     表(a) 計算条件
アスペクト比      A= 0.8665E+01 (−)
乗員・乗客数  Npassen= 400 (名)
ペイロード     Wpay= 0.8488E+01 (tf)
自重比の統計値増加量= 0.0000E+00 (%)
巡航燃費       bJ= 0.5600E+00 (kgf/hr)
巡航推力比     ETO= 0.2720E+00 (−)
巡航条件 0.35000E+05(ft), 0.8400E+00(M)
(VEAS= 0.2695E+03(kt),Vcr= 0.2491E+03(m/s))

       表(b) 飛行性能と要求値
航続距離     R3= 0.97000E+04 (km)  要求値  R3= 0.97000E+04
人・km/燃料1リットル= 0.39326E+02 (人・km/L)
航続時間     E3= 0.10817E+02 (hr)
離陸滑走路長 sTO= 0.20000E+04 (m)   要求値 sTO= 0.20000E+04
 〃 滑走距離  s0= 0.11594E+04 (m)
 〃    CLmaxTO= 0.15392E+01 (−)
着陸滑走路長  Ld= 0.19029E+04 (m)   要求値  Ld= 0.20000E+04
 〃 滑走距離  L0= 0.76115E+03 (m)
 〃    CLmaxLD= 0.22888E+01 (−)
接地速度    VTD= 0.13000E+03 (kt)  要求値 VTD= 0.13000E+03
離陸推力    Tto= 0.88600E+02 (tf)
巡航に必要な推力 = 0.12012E+02 (tf)
有害抗力係数 CD0= 0.18745E-01 (−)
誘導抗力の係数 k= 0.41644E-01 (−)
巡航時迎角   α= 0.34670E+01 (deg)
揚力係数    CL= 0.56764E+00 (−)
抗力係数    CD= 0.32164E-01 (−)
揚抗比   CL/CD= 0.17648E+02 (−)
--<以下はブレゲー最適巡航条件(CL,V一定)>--
最適巡航迎角  α= 0.28972E+01 (deg)(参考)
最適揚力係数  CL= 0.47434E+00 (−) (参考)
最適抗力係数  CD= 0.28115E-01 (−) (参考)
最適揚抗比 CL/CD= 0.16871E+02 (−) (参考)
最適巡航速度 Vcr= 0.27249E+03 (m/s)(参考)

    表(c) 機体諸元(設計結果)
離陸重量     Wto= 0.2230E+03 (tf)
着陸重量     WLD= 0.1500E+03 (tf)
主翼面積       S= 0.3110E+03 (m2)
スパン         b= 0.5190E+02 (m)
平均空力翼弦 CBAR= 0.6775E+01 (m)
先細比(主翼)    λ= 0.2300E+00 (−)
前縁後退角   ΛLE = 0.3500E+02 (deg)
上反角       Γ= 0.6000E+01 (deg)
胴体長さ      LB= 0.5430E+02 (m)
翼面荷重   Wto/S= 0.7170E+03 (kgf/m2)

     表(d) 重量の内訳
自重比     Wempty/Wto= 0.4375E+00 (−)
人+ ペイロード比 Wfixed/Wto= 0.2174E+00 (−)
燃料重量比   Wfuel/Wto= 0.3451E+00 (−)
自重         Wempty= 0.9756E+02 (tf)
人+ ペイロード     Wfixed= 0.4849E+02 (tf)
燃料重量        Wfuel= 0.7696E+02 (tf)
           ( 0.9866E+02 (キロリットル))


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(片柳亮二)