・KMAPは強力な設計ツールであるものの,飛行機の形を創り出してくれるものではありません.
⇒ 飛行機の形は,設計者自ら創造するものです.
従って,他の飛行機の形をまねると,まさに“ものまね飛行機”になってしまいます.
(既存の飛行機形状をまねて性能要求を満足した場合は,そのままの飛行機が設計結果となってしまいます)
・KMAPは,与えられた機体形状について,飛行性能を満足する機体規模(大きさと重量)の最適値
を提案するツールです.
@機体形状データ
・主翼,フラップ,エルロン
・水平尾翼,エレベータ
・垂直尾翼,ラダー
・胴体形状
次の5つの飛行性能を満足する飛行機を探索します.
・乗員・乗客数入力する機体形状データは次の図に示すデータです.
<機体形状データ>
<主翼および尾翼の上反角> <主翼の断面形状>
具体的には次のように,DATデータに入力します.
CDES.XXX.DAT (ここで,“E+03”とは10の3乗=1000である)
---------------------------------------------------------------
(A.2) 主翼,フラップおよびエルロン関係
主翼面積 S = 0.10540E+03 (m2)
スパン(主翼) b = 0.28900E+02 (m)
先細比(主翼)(直線延長) λ = 0.33000E+00 (−)
前縁後退角(主翼)(999.0なら3個データ) ΛLE = 0.99900E+03 (deg)
前縁後退角(主翼) ΛLE = 0.29000E+02 (deg)
後縁付け根後退角(主翼) ΛRTE = 0.00000E+00 (deg)
後縁付け根スパン方向開始位置 ηM = 0.33000E+00 (−)
主翼上反角 Γ = 0.50000E+01 (deg)
胴体中心〜expo主翼根距離(翼が下が正) ZW = 0.10000E+01 (m)
主翼断面後縁角 φTE = 0.18000E+02 (deg)
主翼の前縁半径比 r0/C = 0.20000E-01 (−)
翼厚比(主翼) t/c = 0.11000E+00 (−)
翼厚比(主翼)(t/c)のmax位置 xt = 0.30000E+02 (%MAC)
フラップのchord extention比 c1/c = 0.13000E+01 (−)
フラップ弦長比(せり出し後) cf/c = 0.30000E+00 (−)
フラップのスパン方向開始位置 ηi = 0.15000E+00 (−)
フラップのスパン方向終了位置 ηo = 0.70000E+00 (−)
フラップ舵角(空力推算時参考舵角) δf = 0.20000E+02 (deg)
---------------------------------------------------------------
エルロン弦長比 ca/c = 0.25000E+00 (−)
エルロンのスパン方向開始位置 ηiA = 0.73000E+00 (−)
エルロンのスパン方向終了位置 ηoA = 0.95000E+00 (−)
エルロン舵角(999ならエンジン取付データ) δa = 0.99900E+03 (deg)
エルロン舵角(空力推算時参考舵角) δa = 0.20000E+02 (deg)
主翼エンジン表示(=0無,=1表示) ATENW = 0.10000E+01 (−)
スパン方向位置(片側2個まで) ηENW1 = 0.33000E+00 (−)
スパン方向位置(999は2個目無) ηENW2 = 0.99900E+03 (−)
翼下距離 RHENW = 0.11000E+01 (m)
エンジン直径(主翼) RDENW = 0.20000E+01 (m)
エンジン長さ(主翼) RLENW = 0.33000E+01 (m)
胴体エンジン表示(=0無,=1表示) ATENB = 0.00000E+00 (−)
機首からの距離 RBENB = 0.20485E+02 (m)
胴体中心からの上方距離 RBUPB = 0.45798E+00 (m)
胴体中心からの水平距離 RBHRB = 0.13740E+01 (m)
エンジン直径(胴体) RDENB = 0.13740E+01 (m)
エンジン長さ(胴体) RLENB = 0.22899E+01 (m)
垂尾エンジン表示(=0無,=1表示) ATENV = 0.00000E+00 (−)
スパン方向位置 ηENV = 0.40000E+00 (−)
エンジン直径(垂尾) RDENV = 0.13740E+01 (m)
エンジン長さ(垂尾) RLENV = 0.91603E+01 (m)
プロペラ機(=0無,=1主翼,=2機首) ATENP = 0.00000E+00 (−)
エンジン直径(主翼は片側1個) RDENP = 0.68693E+01 (m)
ウイングレット表示(=0無,=1表示) ATWLT = 0.00000E+00 (−)
長さ RLWLT = 0.11449E+01 (m)
ウイングレット翼端弦長 RCWLT = 0.68287E+00 (m)
角度 DGWLT = 0.70000E+02 (deg)
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(A.3) 水平尾翼およびエレベータ関係
水平尾翼面積 S" = 0.32000E+02 (m2)
スパン(水平尾翼) b" = 0.12400E+02 (m)
先細比(水平尾翼) λ" = 0.26000E+00 (−)
前縁後退角(水平尾翼) ΛLE" = 0.35000E+02 (deg)
水平尾翼上反角 Γ" = 0.90000E+01 (deg)
胴体中心〜水尾CBAR/4距離(翼が下が正) ZH =-0.15000E+01 (m)
胴体中心の主翼後縁〜水尾前縁距離 Lwh = 0.10800E+02 (m)
後縁角(deg)(水平尾翼) φTE" = 0.15000E+02 (deg)
翼厚比(水平尾翼) t/c" = 0.90000E-01 (−)
エレベータ弦長比(全動はce/c"=1.0) ce/c" = 0.35000E+00 (−)
エレベータスパン方向開始位置 ηi" = 0.15000E+00 (−)
エレベータスパン方向終了位置 ηo" = 0.85000E+00 (−)
エレベータ舵角(空力推算時参考舵角) δe = 0.20000E+02(deg)
---------------------------------------------------------------
(A.4) 垂直尾翼およびラダー関係
垂直尾翼面積(胴体中心線まで) Sv = 0.30800E+02 (m2)
スパン(垂直尾翼) bv = 0.80000E+01 (m)
先細比(垂直尾翼) λv = 0.24000E+00 (−)
前縁後退角(垂直尾翼,999はドーサルフィン) ΛLEv = 0.99900E+03 (deg)
前縁後退角(垂直尾翼) ΛLEv = 0.40000E+02 (deg)
ドーサルフィン開始位置(機首からの距離) Ldor = 0.22800E+02 (deg)
ドーサルフィンの垂直尾翼上のスパン位置 ηdor = 0.40000E+00 (−)
胴体中心の主翼後縁〜垂尾前縁距離 Lwv = 0.84000E+01 (m)
後縁角(deg)(垂直尾翼) φTEv = 0.15000E+02 (deg)
翼厚比(垂直尾翼) (t/c)v = 0.90000E-01 (−)
ラダー弦長比 cdr/c = 0.25000E+00 (−)
ラダーのスパン方向開始位置 ηiV = 0.25000E+00 (−)
ラダーのスパン方向終了位置 ηoV = 0.95000E+00 (−)
ラダー舵角(空力推算時参考舵角) δr = 0.30000E+02 (deg)
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以上の機体形状データによって,次の機体3面図がえられます.
<機体3面図>
これらの機体形状データをユーザが最初から作るのは大変な作業となります.そこで,次のように
例題の飛行機形状を用いて,それを修正することでデータを作ると簡単です.
【ローカルディスクC:\KMAPホルダー内に,“KMAP**実行スタートファイル.BAT”があるので,これを $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$< 解析結果の表示 >$$$$$$$$(KMAP**)$$$$$$$
ダブルクリックすると,KMAP**のプログラムが起動し次のように表示されます.】
@KMAPの起動
################## < KMAP*** 解析内容選択 > #####################
(20**.*.*)
● 従来型のキーイン方式による各種KMAP解析
1 :「一般」(下記以外) ⇒ 航空機の運動・制御系解析,スピン運動
2 :「CDES」 ⇒ 航空機(含む機体形状データ)の解析
3 :「CDES.WAT」 ⇒ 水中ビークルの運動・制御系解析
4 :「EIGE」 ⇒ 基礎的な制御,振動,最適化,
ロボットの制御,自動車の制御,船の制御
5 :「EIGE.MEC」 ⇒ 工作機械の制御解析
6 :「HAYA」 ⇒ キーインなしで航空機シミュレーション
7 : シミュレーションデータの保存と加工
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11: 有限要素法(FEM)による構造物の弾性解析 (参考図書E 参照)
12: 差分法(FDM)による流体,熱の流れの解析 (参考図書E 参照)
13: 飛行機の翼理論,2次元ポテンシャル流厳密解 (参考図書N 参照)
======================================================================
● 飛行機(CDES)の自動化解析 (新規)
23: 解析スタート ⇒保存リストをコピーしてデータ新規作成
======================================================================
(20:自動化解析の説明, 30: 取り扱い説明書(pdf資料))
(86:参考図書, 87:KMAP変更内容の履歴, 88:注意事項の表示)
----------------------------------------------
9 : 終了
######################################################################
● 上記の番号を選択 -->
【ここで,“23”をキーインすると次のように表示されます.】
設計方式(11,12,13,21方式)選択
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(A)通常機 (燃料重量が変化)
“11方式”:(1)性能要求値(乗客数,航続距離,離陸滑走路長,着陸滑走路長,
接地速度)を満足する機体諸元を探索する
(2) 自重一定で,航続距離を指定して必要な燃料量を探索した後,
離陸重量と飛行性能(離陸滑走路長,着陸滑走路長,接地速度)
を求める
(Hの製造可能な自重比の項で,“10”を選択して実行)
(3) この11方式(1)の特殊ケースとして,航続距離優先(ブレゲー最適
条件の迎角を利用)の場合は“12方式”を選択することで可能
“13方式”: 乗客数,離陸重量,自重,燃料量,離陸推力を変更して,
飛行性能(航続距離,離陸滑走路長,着陸滑走路長,接地速度)
および飛行特性(含む,シミュレーション,制御系安定解析)
を解析する
(B)重量一定 (電池式や人力飛行機など)
“21方式”: 乗客数,離陸重量,離陸推力を変更して,
飛行特性(航続距離,離陸滑走距離,着陸滑走距離,接地速度)
および飛行特性(含む,シミュレーション,制御系安定解析)
を解析する
(-1): (戻る)
=========================================================================
●上記の 11, 12, 13, 21 を選択 -->
【ここで,“11”をキーインすると次のように表示されます.】
機体データの取得方法(98,99,100方式)選択
=========================================================================
方法98 : 既存のファイルをコピー利用して新規作成
方法99 : 例題ファイル(リスト表示される)をコピー利用
(直接No)100 : 表示される直接番号の例題ファイルをコピー利用
(-1): (戻る)
=========================================================================
●上記の 98, 99, 100 を選択 -->
【ここで,“99”をキーインすると次のように表示されます.】
機体データの取得
(上記リストをスクロールして番号を入力)
【ここで,“44”をキーインすると次のように表示されます.】
(7)制御則の選択
(上記リストをスクロールして番号を入力)
【ここで,“0”をキーインすると解析が実行されます.】
●解析結果の表示
0 : 結果表示 終了
1 : 安定解析図(f特,根軌跡) (Excelを立ち上げてください)
(極・零点配置,根軌跡,周波数特性などの図が表示できます)
(極・零点の数値データは“9”(安定解析結果)で確認できます)
2 : シミュレーション図(KMAP(時歴)) (Excelを立ち上げてください)
(40秒または200秒のタイムヒストリー図に表示できます)
3 : 機体3面図 (Excelを立ち上げてください)
4 : 飛行性能推算結果 (TES10.DAT)
5 : 空力係数推算結果 (TES5.DAT)
6 : ナイキスト線図 (Excelを立ち上げてください)
7 : シミュレーション図(KMAP(Simu)) (Excelを立ち上げてください)
(Z191〜Z200に定義した値をタイムヒストリー図に表示できます)
9 : 安定解析結果 (TES13.DAT)
10 : その他のExcel図 (Excelを立ち上げてください)
11 : 運動アニメーションを実行(ただし,飛行機と水中ビークルのみ)
(アニメーション開始:[shift]+[S], 終了:[shift]+[E])
(アニメーション表示モード変更:[shift]+[V])
(アニメーション機体拡大:[Q], 縮小:[A])
(アニメーション表示回転:[←],[↑],[→],[↓])
12 : 運動アニメーションの移動量を調節する
13 : シミュレーションデータの保存と加工
14 : 取り扱い説明書(pdf資料)
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
●上記解析結果の表示 ⇒ 0〜 を選択 -->
【ここで,“4”とキーインすると,飛行性能推算結果が次のように得られます.】
表(a) 計算条件
アスペクト比 A= 0.8665E+01 (−)
乗員・乗客数 Npassen= 400 (名)
ペイロード Wpay= 0.8488E+01 (tf)
自重比の統計値増加量= 0.0000E+00 (%)
巡航燃費 bJ= 0.5600E+00 (kgf/hr)
巡航推力比 ETO= 0.2720E+00 (−)
巡航条件 0.35000E+05(ft), 0.8400E+00(M)
(VEAS= 0.2695E+03(kt),Vcr= 0.2491E+03(m/s))
表(b) 飛行性能と要求値
航続距離 R3= 0.97000E+04 (km) 要求値 R3= 0.97000E+04
人・km/燃料1リットル= 0.39326E+02 (人・km/L)
航続時間 E3= 0.10817E+02 (hr)
離陸滑走路長 sTO= 0.20000E+04 (m) 要求値 sTO= 0.20000E+04
〃 滑走距離 s0= 0.11594E+04 (m)
〃 CLmaxTO= 0.15392E+01 (−)
着陸滑走路長 Ld= 0.19029E+04 (m) 要求値 Ld= 0.20000E+04
〃 滑走距離 L0= 0.76115E+03 (m)
〃 CLmaxLD= 0.22888E+01 (−)
接地速度 VTD= 0.13000E+03 (kt) 要求値 VTD= 0.13000E+03
離陸推力 Tto= 0.88600E+02 (tf)
巡航に必要な推力 = 0.12012E+02 (tf)
有害抗力係数 CD0= 0.18745E-01 (−)
誘導抗力の係数 k= 0.41644E-01 (−)
巡航時迎角 α= 0.34670E+01 (deg)
揚力係数 CL= 0.56764E+00 (−)
抗力係数 CD= 0.32164E-01 (−)
揚抗比 CL/CD= 0.17648E+02 (−)
--<以下はブレゲー最適巡航条件(CL,V一定)>--
最適巡航迎角 α= 0.28972E+01 (deg)(参考)
最適揚力係数 CL= 0.47434E+00 (−) (参考)
最適抗力係数 CD= 0.28115E-01 (−) (参考)
最適揚抗比 CL/CD= 0.16871E+02 (−) (参考)
最適巡航速度 Vcr= 0.27249E+03 (m/s)(参考)
表(c) 機体諸元(設計結果)
離陸重量 Wto= 0.2230E+03 (tf)
着陸重量 WLD= 0.1500E+03 (tf)
主翼面積 S= 0.3110E+03 (m2)
スパン b= 0.5190E+02 (m)
平均空力翼弦 CBAR= 0.6775E+01 (m)
先細比(主翼) λ= 0.2300E+00 (−)
前縁後退角 ΛLE = 0.3500E+02 (deg)
上反角 Γ= 0.6000E+01 (deg)
胴体長さ LB= 0.5430E+02 (m)
翼面荷重 Wto/S= 0.7170E+03 (kgf/m2)
表(d) 重量の内訳
自重比 Wempty/Wto= 0.4375E+00 (−)
人+ ペイロード比 Wfixed/Wto= 0.2174E+00 (−)
燃料重量比 Wfuel/Wto= 0.3451E+00 (−)
自重 Wempty= 0.9756E+02 (tf)
人+ ペイロード Wfixed= 0.4849E+02 (tf)
燃料重量 Wfuel= 0.7696E+02 (tf)
( 0.9866E+02 (キロリットル))
(片柳亮二)